仕事と趣味:老後のために備えるのは、お金・健康・趣味

仕事と趣味:老後のために備えるのは、お金・健康・趣味

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貴方の趣味は何ですか?そう聞かれて、「私の趣味は仕事です。」笑顔でそう答える人がいます。Dr.Yも一昔前はそのような人たちの仲間でした。「楽しんで仕事をして、やり甲斐も感じているので、それ以外に趣味などに時間を費やす暇はありません。」そういう気持ちで仕事をしていました。
先日、Dr.Yの勤務する病院で、40年間勤務した80代半ばの女性スタッフが退職しました。毎朝7時には出勤し、若い人に負けないくらいの仕事ぶりでしたが、ご家族様の心配する声を聞き入れて、止む無く退職を決断されたそうです。今迄は仕事一筋の人生でしたから、「これからは趣味の世界で、充実した毎日を送られて下さいね!」と別れ際にお声掛けしましたところ、「趣味はありませんから!」そんな返事が返って来ました。80代半ばにして新たな趣味を作り、それに没頭することは、ことのほか大変なことであろうと想像しましたが、是非とも前向きに頑張って頂きたいと思います。
物語に結末があり、お芝居にフィナーレがあるように、人生にも必ず現役引退をする日が来ます。ピンピンコロリとは、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリと死ぬことを指し、多くの人たちがそれを理想と考え、生涯現役を目標にして頑張っています。しかし、現役引退の日は必ず来るのです。「そんな日が来るなどとは思わなかった!」などと後で後悔することの無いように、若い頃から老後の楽しみの為の準備をしておかなくてはなりません。老後の備えは、お金と健康だけではありません。生き甲斐の源となる趣味も備えておくべきものなのです。
さて、趣味とは一体何なのでしょうか?辞書を引いてみますと、「仕事・職業としてではなく、個人が楽しみとしている事柄のこと」と書いてあります。これだけでは分かり難いので、人生の時間を4つに分けて考えてみましょう。仕事、趣味、生活、休養の4つです。仕事は生活する為に必要な資金を得る為の経済活動です。生活は暮らしていくために必要な作業です。休養は、元気で頑張る為に必要な休息や睡眠のことです。趣味の時間とは、自分の人生の時間から、仕事、生活、休養を差し引いた時間か当てられます。
仕事も、生活も、休養も、全て楽しんでやるのが理想的です。仕事は我慢してやり、趣味は楽しんでやるというのは、望ましい姿勢ではありません。好奇心を持ち、仕事も楽しんでやるように心がけなければなりません。
それでは、仕事と趣味の違いは何なのでしょうか?仕事も趣味も、楽しくて、ためになり、生き甲斐を感じることができれば良いと思います。仕事と趣味の違いは、経済的な側面を考える必要があるのか?ないのか?その違いだけです。仕事の目的は、家族を経済的に支える為に収益を得る事ですが、それを楽しんでやることが理想です。趣味の目的は、楽しみながら、自分のためになり、生き甲斐を感じることです。
採算を考えずにやり甲斐を求めて仕事をする人がいますが、それは道楽と呼び仕事とは言えないと思います。
本日は、楽しくて、為になり、生き甲斐を感じることができ、お金を稼ぐ必要が無い、趣味の持ち方について、お話ししたいと思います。

こんにちは、Dr.Yです。
コロナ禍に於いて、家庭を全てを犠牲にして、患者さんの治療に専念している医療従事者がいます。シングルマザーで、仕事と家事に追われて、生活していくのがやっとと言う人もいます。Dr.Yも40歳頃までは、寝る時間を惜しんで仕事に追われる生活を送っていました。長い人生に於いては、仕事や育児が忙しくて趣味の時間など持てないという時期もあれば、現役を引退した後で、趣味を持つことが老後の生き甲斐を得る為に不可欠な時期もあります。
人生の時間のある時期は、趣味の時間は0%であっても、ある時期、特に最後の1/3~1/4は趣味の時間が50%になるように長期的な計画を立てておく必要があると思います。
再度確認して起きますが、趣味とは、楽しくて、為になって、生き甲斐を感じられるけれど、収益を考えなくて良いことを指します。認知症高齢者がデイサービスでお絵描きをしているとしましょう。それは楽しんでやっているのかも知れませんが、趣味とは言えません。為になって生き甲斐を感じることができないからです。為になるというのは、努力することで知識、技術、感性などを獲得できることを意味します。
人間には本能的な喜び以外に知的喜びがあります。知的喜びとは、①今迄知らなかったことを知った喜び。そして、②今迄気付けなかったことに気付けた喜び。更には、③今迄、できなかったことができるようになった喜び、などがあります。知的な喜びというのは、自ら努力しなければ味わうことはできません。なぜだろう?どうしたら?自分で考えて努力して得られるものなのです。楽をして怠惰な生活を送っても、そこに喜びや生き甲斐を感じることはできません。地球上に於いては、自ら汗水流して得たもの以外には価値は無いからです。
このように、趣味とは楽をして楽しむものではなく、努力して自らの感性を磨き、技術を磨いて、成長できるものなのです。自らの成長を伴わないものは、趣味とは言えないのです。
このように考えますと、高齢者を対象としたデイサービスでのリクリエーションが趣味では無いということがご理解頂けると思います。
それでは、どのような趣味を選択するのが良いのでしょうか?自分のやりたいと思う事、そして自分の向き不向きを考え、自分の置かれた環境や体力を考慮して、努力すれば達成可能ならことに対しては、是非ともチャレンジして頂きたいものです。
趣味としてチャレンジできるものを列記してみますと、音楽、芸術、植物、健康、スポーツ、アウトドア、料理、ゲーム、スキル、など色々あります。
青年期は元気に身体を動かすことに喜びを感じる傾向にあります。壮年期になったら物を創ったり鑑賞する技術や感性を身につけることに適しています。高齢期になったら身の回りにある様々なものの美しさや素晴らしさを感じとる感性を更に伸ばすことが相応しいと思います。超高齢者となり、足腰が立たなくなったとしても、日常の様々な事柄に対して、独りで楽しめる技術と感性を身につけておくことが必要です。お世話になっている人たちに感謝の気持ちを持ち、感謝への感性が更に高まることで幸を感じることができます。今までは感謝することができなかったことに対しても、感謝の気持ちを持つことができるようになり、生かされていることに喜びを感じ、常に感謝の気持ちで満たされて生きられるようになれは、理想的な生き方であると思います。
Dr.Yは1年間ほど老人ホームの訪問診療を経験したことがあります。男性よりも女性の方が平均寿命、健康寿命ともに長いこともあり、入居者さんの90%が女性でした。そして、その中の多くの方々は趣味を持ち毎日が幸せだと話されていました。中には、趣味を持たずに、部屋に篭りっきりの方もいらっしゃいました。
現役世代の方の中には、「俺は生涯現役で働くつもりだから、趣味などは要らない。」そう主張する方々もいらっしゃるかも知れません。しかし、人生に於いては、仕事なり介護や家事など、現役を引退をする日が必ず来ます。
Dr.Yの内科外来に来られる高齢男性には、現役引退後、趣味を持たずに、家に引きこもっている人がいます。趣味が無くても、散歩をしたり、草取りをしたり、図書館に通うなど、家から離れて身体を動かす習慣を身につけた人は幸いです。嘗ての栄光に酔いしれながら、テレビを見ては愚痴をこぼし、朝から晩まで居眠りをしながら毎日を過ごしているような人がいます。奥様から「この人は何もしようとしないんです。先生何とか言ってやってください」とお願いされることがありますが、「重度の面倒くさい病」は難病のように手の施しようがありません。「出来るだけ外の空気を吸うようになさってください!」と形式的なアドバイスをすることしかできません。老後の生き甲斐の為に趣味を持たずに来た自分自身の責任であり、今更どうしようも無いということなのです。
若い時に感性を磨く様々な体験をしておくことは、とでも大切です。Dr.Yは若い頃は、自分の仕事のスキルを上げることばかり考えており、テレビで舞踊を観ても、美しいと感じることができませんでした。手のこんだ美しい料理を出されても、それをじっくりと味わうことはできませんでした。豚肉と鶏肉の違いは分かったとしても、鶏の胸肉ともも肉の区別はできませんでした。梅の花と桜の花の区別もできず、どちらが早く咲くのかなど、興味の対象外でした。
ところが、40歳を過ぎた頃から仕事一辺倒の生活から仕事と趣味の両立へと生き方を切り替えました。娘と日本舞踊の稽古に通ったり、家族の為の食事を自分で作る経験をしました。今ではそれらから遠ざかっていますが、その経験で培った、知識、技術、感性が今でも活かされています。
テレビでたまたま日本舞踊や歌舞伎や能が放映されると、あっ!素敵だなぁと思えます。レストランに行って食事をしていても、どのように調理したのか?想像しながら味わうことができ、自分には作れない味とコクのある料理が出されると感動してしまいます。
今は、休みの日には夫婦で外食がてら、季節の花を見に行くのを楽しみにしています。道端に咲いている小さな花を見て、「あら可愛い」と写真を撮っている妻の横で、「今の自分には、全然可愛いとは思えないけれど、可愛いと思える感性を見につけなければならないなぁ!」そう思って花で癒されるという修行を積んでいるところです。
現役引退する日は必ず来ます。老後に備えるべきなのは、お金だけではありません。老後を楽しむことができる技術と感性を身につけておくことは、人生を左右する大切なことなのです。80歳を過ぎて新たなことを初めるのはとても労力を要します。若い頃に体験しておけば、無理なく再開することができます。
人生の時間を仕事、趣味、生活、休憩の4種類に分けました。仕事を楽しみ、趣味を楽しみ、生活を楽しみ、休憩を楽しむような生き方をし、高齢になったら、仕事の割合を減らして趣味の時間を増やす。そう言う生き方が最も賢明な人生であると、痛切に感じる今日この頃です。
本日は、老後の為に蓄えるのは、お金と健康だけではなく、趣味を楽しめる技術と感性であるというお話しをしました。
また、皆様のお役に立てるようなお話しをしたいと思います。
Dr.Yでした。
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