【うめちゃんねる】 中村章啓さん「ドキュメンテーションのはじめ方と配慮」

【うめちゃんねる】 中村章啓さん「ドキュメンテーションのはじめ方と配慮」

こんにちは、うめちゃんこと 松原美里です。

保育記録の可能性を模索する人にとって、気になる存在が「ドキュメンテーション」。

すでに活用されている方もいらっしゃる一方で、
模索をされている方も少なくありません。

これまでもドキュメンテーションについての紹介を
各地でされてきた中村章啓さんに
・ドキュメンテーションとは?
・中村先生と野中保育園のドキュメンテーション
・書き方や視点
・工夫していること
・ドキュメンテーションによってもたらされた保護者の反応
・保育の質の向上に寄与するための在り方や可能性

~についてお話を聞かせていただきました。

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<中村さん ご本人より>
要約&補足を書いたので、ご参考までにどうぞ。

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野中こども園における、あるいは中村が思い描いているドキュメンテーションとは

●子どもの姿を可視化した保育記録
●カリキュラム・マネジメントに活用しうる(している)記録
●対話の起点となり得る面白さを持ったもの
ただし、これをドキュメンテーションと称してよいかは心許ない。
厳密にはドキュメンテーションとは異なる取り組みのようにも感じているが、その呼称が園内で定着してしまっているため、便宜上、そう呼び続けている。

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そもそも中村は何故ドキュメンテーションに取り組んだのか

野中こども園(野中保育園)では60年以上に渡り、次のような保育を標榜してきた
●子どもをヒトとして尊重する
●子どもの内発的動機づけを重視する
●子どもの興味・関心を起点とする主体的な活動を保障する
●子どもの自己決定の機会を保障し、成功体験・達成感を通じて自己肯定感を育む
●多様性と変化に富んだ環境を整備する
●保護者の保育への参画の機会を保障する
しかし、具体的な実践(特に行事や制作)を見ると、「子どもの興味・関心を起点とする主体的な活動」から少し離れてしまったものもあり、見直したいと思っていた。
また、計画・記録・振り返りの手法、そこに用いる書類・帳票、会議の持ち方などに不合理な点が多く、徒に保育士の負担を増やしていると感じていた。
研修で仁慈保幼園や赤碕こども園の実践を知り、副園長という立場で取り組めるものとしてドキュメンテーションに着目したのが始まり。

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書き方や視点等で工夫していること

●子どもと、その子どもが興味を向けているモノ・ヒト・デキゴトを俯瞰して捉える
●子どもとモノ・ヒト・デキゴトとの関わりの過程を丁寧に追う
●子どもの感情の動きや思考の展開が見えるような写真を選ぶ
●子どもの気づきや感情の動き思考、あるいは創意工夫・表現・他者との共同の意図などを想像してキャプションを書く
●視認性・可読性を意識してレイアウトする
○中村が作成しているものは、コミックや映画の絵コンテなどを参考にした
○一時期は可読性や対話の起点としての機能を重視して、文章量を極力絞り込んでいたが、今年度に入ってからは、読み取りを比較的詳細に記述するように変えている
○ラーニング・ストーリーを参考にして、次の5つの視点を意識している
■何かに興味を持っている
■何かに夢中になっている
■何かに挑戦している
■自分の気持ちを表現している
■関わりの中で役割を果たしている
●対話の起点となるような面白さを意識する(不必要な演出を盛り込むという意味ではない)

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保護者・保育者の反応

●保護者には非常に好意的に受け止められている
●保育参加やボランティア活動など、保護者の保育への参画のきっかけにもなっている
●保育者にも浸透・定着し(ただし、時間はかかった)、記録・振り返りの手法として、当園の理念や実践とマッチしている(書きやすく活用しやすい)という感触を得ている
○その背景として、ドキュメンテーションを職員に紹介する際に、保育日誌・計画立案のための資料・ケーススタディの資料・園内研修の題材など、これまで重複した内容で作成していた書類を統廃合したこともある

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保育の質の向上に寄与するためのあり方や可能性

●書類の見直しは既に述べたが、計画・実践・振り返り・改善のプロセスそれぞれを見直す必要があると考えている
●特に「質の向上を目指した取り組み」と「業務省力化(職員の負担軽減)」はセットであるという意識を運営者側が忘れないことが重要
●子どもの主体的な活動に、保育者が注目し、保護者・保育者・子どもたちと共有したいと感じた場面を切り取り、読み取りを加えて記述する。という流れを考えると、次の点が大切になる
■先に挙げた、ラーニング・ストーリーの5つの視点が自然に現れるような、豊かな環境があるか
□多様性と変化に富んだ環境はあるか
□興味を持ったものに関わる自由が、子どもに保障されているか
□熱中・没頭できる空間・時間が、子どもに保障されているか
□安全を保障された上で、未知の課題や困難な課題に挑戦する自由が、子どもに保障されているか
□感じたことや考えたことを表現する自由が、子どもに保障されているか。それは不必要な評価にさらされないか
□大人や他の子どもと共同し、自分たちで目標やルールを設定する自由が、子どもに保障されているか。子どもなりに役割を果たした喜びを感じられ、そのあり方は不必要な評価にさらされないか
■子どもが興味を持っていることや、その対象への関わり方に興味を持てる保育者は育っているか(その心理的・物理的余裕が保障されているか)
■保育者から保護者・同僚に向けて、自分の実践と子どもの姿の読み取りを発信することに安心感が保てるような関係性が築けているか
●上記の条件に欠ける状況でドキュメンテーションを導入すると、保育者の負担が増加すると危惧している
●そうした条件が整っているかの確認の手段として、園長・副園長・主幹保育士等が、まずドキュメンテーションに着手することが良いのではないかと考えている
●当園でも、カリキュラム・マネジメントに充分活かせているとはいえない。さらなる見直しが必要と考えている。

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